台湾特許情報API(專利公開資訊API)を使って権利状況を収集した話

以前の記事(日本特許庁のAPIを使ってみた話)で日本特許庁のAPIについて紹介しましたが、実は台湾にも特許情報を取得できるAPIがあります。この台湾の「專利公開資訊API」を実際に活用する機会があったので、その利用方法と使ってみた感想を紹介します。

台湾特許情報API(專利公開資訊API)でできること


專利公開資訊APIは智慧財産局e網通の一機能として公開されています。

智慧財産局e網通とは

台湾の特許・商標・著作権を所管する行政機関である経済部智慧財産局(TIPO)は、「智慧財産権e網通」(https://tiponet.tipo.gov.tw)というポータルサイトを運営しています。電子出願や案件の進捗管理はもちろん、公開されている特許・商標情報の検索・取得までを一つのアカウントでまとめて扱える、いわば台湾版の電子出願・情報ポータルです。

「專利公開資訊API」は、このe網通が提供する多数のサービスの中の一機能で、公開されている特許案件の情報をプログラムから直接取得できるAPIです。

專利公開資訊APIでできること

「專利公開資訊查詢」ページ内の「申請專利公開資訊API」から申請することで、公開されている特許案件について、以下のような情報をプログラムから直接取得できます。

  • 認証トークンの取得(Basic認証でAPIアカウント・パスワードを送り、以降のAPI呼び出しに使うBearerトークンを発行してもらう)
  • 案件の基本情報の取得(申請案号・公開号・公告号・申請日・専利名称・専利種類・出願人(中英文)・代理人・優先権情報・優先権に関する電子データ・一案両請聲明の有無・案件進度(ステータス)・案件類型など)
  • 関連案件情報の取得(分割出願などの親子案件関係、訴願決定書の内容、訴訟裁判書の内容とそのPDF・添付ファイルへのリンク)
  • 収発文履歴の取得(案件についての行政機関とのやり取り(収文・発文)の種別・案由・日付・添付書類一覧)
  • 各種添付ファイル(申請書、決定書、判決書などのPDF等)のダウンロード

つまり、案件番号(申請案号・公開号・公告号のいずれか)を渡すだけで、その案件の基本情報から審査経過、関連する訴願・訴訟の状況、やり取りの履歴、関連書類の実体ファイルまで、一通りの情報をAPI経由でまとめて取得できる構成になっています。

利用するまでの手順

「智慧財産局e網通」アカウントの作成

APIを使うには、まずe網通のアカウントが必要です。

  1. e網通のトップページ(https://tiponet.tipo.gov.tw)にアクセスし、右上の「註冊(登録)」をクリック
  2. アカウント名・パスワードを設定し、身分類型(個人/法人など)や国籍・所属組織の種類を選択
  3. 会員情報(氏名・連絡先など)を入力
  4. 電子出願や電子公文の受領まで行いたい場合は電子証明書のアップロードが必要(台湾国内の個人法人に限る)だが、情報照会のみが目的であればこのステップは省略可能
  5. 会員申請同意書・電子申請約定を確認のうえ同意
  6. 内容確認後、登録完了

出願行為(電子申請)を伴わず、単に公開情報を取得するだけであれば、海外在住の個人・法人でも登録が可能で、登録が完了すればすぐにIDが発行されて利用できる状態になります。この手軽さは、日本以外の国の特許庁が提供する情報系サービスと比べても使い勝手が良いと感じた点です。

專利公開資訊APIの利用申請

e網通のアカウントを取得したら、続けてAPI自体の利用申請を行います。

  • 「專利公開資訊查詢」ページ(e網通サイト内の「資訊查詢」メニューから遷移)を開く
  • ページ右上にある「申請專利公開資訊API」をクリック



  • e網通のアカウント・パスワードでログインし、申請内容を確認して送出
  • 審査後、API用のアカウント・パスワード(トークン取得に使う認証情報)が申請時のメールアドレス宛に届く

今回のケースでは、申請から数分〜それほど待たされることなくメールが届き、すぐにAPIへのアクセスを試すことができました。

プログラムによってAPIにアクセスしてデータの取得

APIはHTTPS経由のシンプルなGETリクエストで構成されているため、Python・React(Node.js)・Excel VBAなど、HTTPリクエストを投げられる環境であれば言語やツールを問わず利用できます。
認証の流れは次の2段階です。

  1. 発行されたAPIアカウント・パスワードを アカウント:パスワード の形式で連結し、Base64エンコードしたうえでBasic認証としてヘッダーに設定し、トークン取得用エンドポイント(getAuth)にアクセス
  2. 取得したトークンをBearer認証としてヘッダーに設定し、各種の情報取得エンドポイント(案件基本情報・関連案件情報・収発文履歴・ファイルダウンロードなど)にアクセス


プログラムでの利用方法

以前、日本の特許情報APIをPythonで叩く方法を解説する記事を書いたことがありますが、今ではClaude Codeのような生成AIエージェントに指示を出すだけで、こうしたAPI連携プログラムを自動的に構築してもらえる時代になりました。

とはいえ、どのような構成にするかはこちらから明確に指示する必要があります。今回、実際にClaude Codeへ指示を出す際に意識したポイントは以下のとおりです。

  • 今回のケースでは、出願番号一覧をまとめたCSVを用意し、それぞれの案件についてAPIから権利状態などの情報を取得させ、一覧化と集計を行った上でHTMLとして出力させる、という構成にした
  • モジュールの形(Webアプリ/単発スクリプト/ローカルアプリのいずれか)は自由に選んでよいが、件数が多い場合は取得結果をいったんデータベースに格納する設計は必須とした。これはエラー発生時のリトライ、取得結果に不備がないかの目視確認、修正後の再取得といった運用に対応するため。特に結果だけでなく途中過程を確認できる構成にしたい
  • 欲しい情報の種類は具体的に指示する必要がある。例えば権利状態(ステータス)が欲しい場合、APIのレスポンスにどのようなステータス値が存在し得るのかをあらかじめ伝えておくと、判定ロジックの精度が上がる
  • APIのアカウント・トークンはプログラム内に直接書き込まず、.envファイルなど別ファイルで管理し、実行時に読み込ませる形にした。認証情報をモジュール内に直書きするのはセキュリティ上望ましくないため

作成モジュールの紹介

今回は、クライアント所有特許について各国での権利状況を調査する一連の作業の中で、台湾分は本記事の專利公開資訊APIを、日本分は以前紹介した特許庁のAPIを、それぞれ利用してデータを取得しました。

Claude Codeでの実装は、ターミナル上に処理の進捗(どの案件を取得中か、エラーが出ていないかなど)がリアルタイムに表示される形で進み、最終的には取得した権利状況の一覧と、ステータスごとの集計結果をHTMLファイルとして出力する構成にまとまりました。下記の画面はVisual Studio Codeのターミナルでclaude codeにて実行した結果です。ステータスが取得できていますが、その他書誌事項なども取得できています。



まとめ

  • 台湾のAPIでは、Web上の專利公開資訊查詢サイトで1件ずつ確認するよりも、案件の基本情報・関連案件・収発文履歴など、より細かい情報をまとめて取得できる
  • 1,000件程度の案件情報の取得でも、1時間程度あれば取得可能な処理速度感だった
  • 利用にあたってはClaude Codeを使ってプログラムを組めるため、以前と比べて活用のハードルが劇的に下がった
  • 情報取得目的であれば海外の個人・法人でもすぐに登録・利用でき、使い勝手が良いAPIだと感じた